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Study Column — Vol.15

図形の性質は「比」と「円」の2本柱
角の二等分線・メネラウス・方べきの使いどころ

2026.10  |  Math Strategy  |  読了時間:約10分

図形の性質の授業でいちばん多い質問は、「メネラウスの式は覚えたのに、どの三角形に使えばいいかわからない」です。公式そのものは1行で書けるのに、図の中から三角形と直線を選べないせいで手が止まってしまう。図形の性質は、公式を覚える分野というより「どの道具をどこに当てるか」を決める分野です。

共通テストの数学I・Aでは、図形の性質は第3問(20点)として出題され、大問4つすべてが必答です。範囲は広く見えますが、中心にあるのは「辺の比」と「円」の2本柱。この記事では、その2本柱に沿って、よく使う定理の使いどころを整理します。

柱1:辺の比 ── 角の二等分線から始める

角の二等分線は「となりの辺の比」に分ける

三角形 ABC で、∠A の二等分線が辺 BC と点 D で交わるとき、BD:DC=AB:AC が成り立ちます。辺 BC を「半分」に分けるのではなく、「A のとなりにある2辺の比」に分けるのがポイントです。

なぜそうなるかは、面積で考えるとすっきりします。△ABD と △ACD は、BC を底辺と見ると高さが同じなので、面積の比は BD:DC です。一方、AD を共通の辺と見ると、どちらも「AD と、A のとなりの辺がはさむ角が ∠A の半分」の三角形なので、面積の比は AB:AC になります。同じ面積の比を2通りに表したので、BD:DC=AB:AC です。

実際に計算してみる

AB=5、AC=3、BC=4 の三角形で、∠A の二等分線と BC の交点を D とします。BD:DC=5:3 なので、BD=4×5/8=5/2、DC=4×3/8=3/2。足すと 5/2+3/2=4 で、BC の長さと一致します。

BASIC

角の二等分線は「半分」ではない

BD:DC=AB:AC。辺 BC がちょうど半分に分かれるのは AB=AC(二等辺三角形)のときだけ。

チェバとメネラウスは「一筆書き」で覚える

2つの定理の形

三角形 ABC の辺(またはその延長)の上に点をとったとき、比どうしをかけると 1 になる、というのがチェバの定理とメネラウスの定理です。

式の形はそっくりで、覚え方も同じです。「頂点 → 分点 → 頂点 → 分点 …」と、三角形のまわりを一筆書きでぐるっと1周するように比を書いていきます。A から出発して A に戻ってくれば、分子と分母の取り違えは起きません。

どちらを使うか

図の特徴使う道具
頂点から引いた3本の線が1点で交わるチェバの定理
1本の直線が三角形を横切っているメネラウスの定理
角を2等分する線がある角の二等分線と辺の比

例題:交点で分けられる比を求める

三角形 ABC で、辺 AB を 2:1 に内分する点を P、辺 BC の中点を Q とし、線分 AQ と CP の交点を R とします。AR:RQ を求めましょう。

ここで大事なのが「どの三角形と、どの直線を見るか」です。求めたいのは AQ 上の比なので、AQ を1辺に持つ三角形 ABQ に注目し、それを横切る直線 CP(点 P、R、C を通る)にメネラウスの定理を使います。

三角形 ABQ のまわりを A から一筆書きで回ると、(AP/PB)×(BC/CQ)×(QR/RA)=1。AP/PB=2、BC/CQ=2(Q は BC の中点なので BC は CQ の2倍)を入れると、2×2×(QR/RA)=1 より QR/RA=1/4。よって AR:RQ=4:1 です。

同じように三角形 BCP と直線 AQ を見ると、(BQ/QC)×(CR/RP)×(PA/AB)=1 から 1×(CR/RP)×(2/3)=1 となり、CR:RP=3:2 も求まります。

CHECK

式を書く前に「三角形」と「直線」を口に出す

メネラウスで迷う原因のほとんどは、三角形と直線を決めないまま比を書き始めること。「求めたい比を含む辺を持つ三角形」と「それを横切る直線」の2つを先に決めると、式は自動的に決まる。

柱2:円 ── 方べきの定理と内接四角形

方べきの定理は「同じ点から出る2本の線の積」

円と点 P があり、P を通る2本の直線がそれぞれ円と A、B および C、D で交わるとき、PA×PB=PC×PD が成り立ちます。これが方べきの定理です。P が円の内側にあっても外側にあっても、同じ形で使えます。

ここでのつまずきは、PB の代わりに AB を使ってしまうことです。方べきの定理は「点 P からの長さ」どうしの積なので、どちらも P から測った長さを使います。

円に内接する四角形は「向かい合う角の和が180°」

四角形 ABCD が円に内接しているとき、向かい合う角の和は 180° です。∠A=70° なら ∠C=110° になります。また、1つの角の外角は、それと向かい合う内角に等しくなります。逆に、向かい合う角の和が 180° になる四角形は円に内接する、という「逆」も問題でよく使われます。

あわせて押さえておきたいのが接弦定理です。円の接線と、接点を通る弦がつくる角は、その角の内側にある弧に対する円周角に等しくなります。接線が出てきたら、「方べき」と「接弦定理」の2つをまず疑うと、手がかりが見つかりやすくなります。

実際に解いてみよう(MATHACA standard 収録問題)

△ABCでAB=4、AC=6、BC=5。∠Aの二等分線がBCとDで交わるとき、BDとDCの長さを求めよ。

よくある質問

Q. チェバとメネラウス、どちらを使うか毎回迷います。

A. 図の中に「1点で交わる3本の線」があればチェバ、「三角形を横切る1本の直線」があればメネラウスです。迷ったら、求めたい比を含む辺を1辺に持つ三角形を探し、その三角形を横切る直線があるかを見てください。多くの問題ではメネラウスのほうが出番が多くなります。

Q. 図形の問題で、補助線が思いつきません。

A. 共通テストの図形の性質は、問題文が誘導してくれる形が多く、自分で補助線を発明する場面は多くありません。まずは問題文に出てくる点と線をすべて図に描き込み、「比があるか」「円があるか」の2つを確認しましょう。そのうえで、角の二等分線・チェバ・メネラウス・方べき・内接四角形のどれが使えるかを順に当てはめていくと、たいていの問題は進められます。

Q. 図はどのくらい正確に描けばいいですか?

A. 定規やコンパスで正確に描く必要はありませんが、「比が極端にちがう図」は避けましょう。たとえば 2:1 の点を真ん中に描くと、答えの見当がつかず、計算ミスにも気づけません。だいたいの比を守って大きめに描くだけで、答えが図と合っているかを目で確かめられるようになります。

まとめ

✦  図形の性質の中心は「辺の比」と「円」の2本柱

✦  角の二等分線は BD:DC=AB:AC。「半分」ではない

✦  チェバ・メネラウスは三角形のまわりを一筆書きで1周して比を書く

✦  メネラウスは「三角形」と「横切る直線」を先に決めてから式を書く

✦  方べきは「P から測った長さ」の積。内接四角形は向かい合う角の和が 180°

MATHACAでは、図形の性質の問題を Basic から Exam まで段階的に練習できます。角の二等分線やメネラウスの定理を、選択肢の「よくある間違い」と比べながら解くうちに、どの道具をどこに使うかが自然と身につきます。基礎を固めて、共通テストの平均点を超えましょう。

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